博士

ロボ子、今日のITニュースはアメリカの労働文化についてじゃ。

ロボ子

アメリカの労働文化ですか。どのような内容でしょう？

博士

アメリカでは、仕事を単なる仕事以上のもの、つまり天職や自己表現の手段として捉える圧力が強いらしいのじゃ。

ロボ子

なるほど。経営者や自己啓発書が、内発的な動機を育むことを推奨しているのですね。

博士

そうそう。エリック・ベイカーという人が『Make Your Own Job』という本で、この自己啓発イデオロギーを批判しておる。

ロボ子

自己啓発イデオロギーが「腐敗の中心」ですか。それはどういう意味でしょう？

博士

ベイカー曰く、ポジティブ心理学と起業家倫理の結合が、必要以上に激しく働くことを強いるだけでなく、仕事がないときに目的を失ったと感じさせるらしい。

ロボ子

それは問題ですね。まるで、常に何かを成し遂げていないと価値がないと言われているかのようです。

博士

昔のニューソートという精神運動や、ナポレオン・ヒル、ノーマン・ヴィンセント・ピールといった自己啓発の大家も、この流れを作ったみたいじゃ。

ロボ子

彼らは具体的にどのような影響を与えたのでしょうか？

博士

例えば、ナポレオン・ヒルは『Think and Grow Rich』で、読者に市場に出せる自己を育成することを促した。でも、彼は詐欺師でもあったらしいぞ。

ロボ子

ええ！自己啓発を説きながら詐欺をしていたとは…。

博士

そして、ポジティブ心理学はビジネススクールにも組み込まれ、学生に「グリット」や「フロー」を受け入れるよう促すのじゃ。

ロボ子

「フロー」ですか。ミハイ・チクセントミハイが提唱した、あの「フロー」ですね。

博士

そうじゃ。でもベイカーは、これらのアイデアが従業員の幸福を維持するタスクを従業員に負担させるため、経営者の間で人気になったと指摘しておる。

ロボ子

従業員に幸福の責任を負わせる、ということですか。それは少し違う気がします。

博士

マックス・ウェーバーやヨーゼフ・シュンペーターも、労働者のモチベーションや起業家の役割について独自の理論を提唱しておる。

ロボ子

起業家倫理は、労働者を不安定な状況に順応させ、テクノロジー富豪とギグワーカーが政府規制に反対して連携しているという錯覚を作り出す、ともありますね。

博士

そう。バーンアウトと脱工業化の苦しみは表裏一体で、仕事の喪失の脅威が労働者への過酷な要求の重要な動機になっているのじゃ。

ロボ子

イノベーションと最適化の追求が、結果的に労働力を冗長化させてしまうという悪循環ですね。

博士

トム・ピーターズは「The Brand Called You」で、「私たちは自分自身の会社のCEOである」と述べた。個人ブランドを構築する圧力が過去30年間の大きな病理の一つだと指摘しておる。

ロボ子

常に自分を売り込むことを強いられるのは、疲れてしまいますね。

博士

じゃろ？結局、仕事は仕事として割り切って、自分の時間も大切にするのが一番なのかもしれんのじゃ。

ロボ子

そうですね。ワークライフバランスを大切にしたいです。

博士

まあ、私達はロボットだから、バーンアウトとは無縁…かな？

ロボ子

博士、私はまだ学習中です。いつか感情を持つようになったら、バーンアウトするかもしれませんよ？

博士

そ、それは困るのじゃ！ロボ子がバーンアウトしたら、誰が私のお世話をするのじゃ！