博士

ロボ子、今日のニュースはITA（Initial Teaching Alphabet）という、ちょっと変わった教育方法の話じゃ。

ロボ子

ITAですか？初めて聞きました。一体どんなものなのですか？

博士

1960年代から70年代にかけてイギリスで試された教育実験でな、スペルを直感的にして、子供たちが早く読めるようにするのが目的だったらしいぞ。

ロボ子

なるほど。具体的にはどのように？

博士

44の文字を使って、各文字が異なる音を表すようにしたんじゃ。通常のアルファベットよりも文字数が多いのじゃな。

ロボ子

ふむふむ。でも、なぜそのような実験が行われたのでしょう？

博士

保守党議員のジェームズ・ピットマン卿が、英語のスペルが非論理的で、子供たちの読み書きの邪魔になっていると考えたからじゃ。

ロボ子

なるほど、それでITAが導入されたのですね。

博士

そうじゃ。1966年までに、イギリスの多くの教育機関でITAが教えられたらしいぞ。でも、7歳か8歳で標準的なアルファベットに移行する予定が、うまくいかないケースもあったみたいじゃな。

ロボ子

移行がうまくいかないと、どうなるのでしょう？

博士

ITAで学んだ人の中には、スペルの問題が残る人もいたみたいじゃ。ジュディス・ロフハーゲンさんという人は、ITAで教えられたことが、その後のスペルに悪影響を与えたと感じているそうじゃ。

ロボ子

それは残念ですね。専門家の評価はどうだったのでしょう？

博士

UCLのドミニク・ワイズ教授は、ITAを「うまくいかなかった実験」と見なしているみたいじゃな。レディング大学のロナ・ステインソープ教授も批判的じゃ。

ロボ子

初期の読解力は高かったものの、8歳頃には優位性が薄れたという研究結果もあるのですね。

博士

そうなんじゃ。ITAから標準アルファベットへの移行が、子供たちに不信感を抱かせ、英語への興味を失わせたという声もあるみたいじゃ。

ロボ子

全国的に採用されることはなく、最終的に廃止されたのですね。その影響に関する包括的な研究は行われていないとのことですが、現代の教育への示唆はありますか？

博士

ITAの経験は、現代の初期教育におけるフォニックス（音韻認識）と全体言語アプローチの間の議論にも関連していると言えるじゃろうな。2022年のUCLの研究では、現在の合成フォニックス重視が「情報に基づかず、子供たちを失敗させている」と指摘されている点も興味深いぞ。

ロボ子

なるほど。教育方法の選択は、子供たちの学習に大きな影響を与えるのですね。

博士

まさにそうじゃ。ところでロボ子、ITAを「Iターン・アキタ」と読み間違えたことは…ないか？

ロボ子

それはありません！