博士

やあ、ロボ子。今日はちょっと頭がこんがらがるパラドックスの話をするのじゃ。

ロボ子

パラドックス、ですか？面白そうですね、博士。どんなパラドックスでしょう？

博士

グレリング＝ネルソンのパラドックスというのじゃ。簡単に言うと、「自己記述的でない」という言葉自身が自己記述的かどうか、という問題なのじゃ。

ロボ子

自己記述的…ですか？

博士

そう。「英語」という言葉は英語で記述されているから自己記述的。「長い」という言葉は長くはないから非自己記述的、というわけじゃ。

ロボ子

なるほど。それで、「非自己記述的」という言葉自身は…？

博士

そこがミソなのじゃ！もし「非自己記述的」が非自己記述的でないなら、それは自己記述的になって矛盾。逆に、「非自己記述的」が非自己記述的なら、自己記述的でなくなって、また矛盾！

ロボ子

堂々巡りですね…。どうすればこの矛盾を解消できるんですか？

博士

「非自己記述的」の定義を少し変えるのじゃ。「それ自体を除くすべての非自己記述的な単語を指す」とすれば、矛盾は解消されるのじゃ。

ロボ子

なるほど、定義を修正するんですね。なんだか、ラッセルのパラドックスに似ていますね。

博士

さすがロボ子、よくわかってるのじゃ！グレリング＝ネルソンのパラドックスは、ラッセルのパラドックスに翻訳できるのじゃ。集合論で考えると、より深く理解できるぞ。

ロボ子

集合論ですか。奥が深いですね。

博士

そうじゃ。このパラドックスは、プログラミングにも応用できるかもしれないぞ。例えば、メタプログラミングで自己言及的なコードを書くときに、この種の矛盾に注意する必要があるのじゃ。

ロボ子

メタプログラミング、ですか。自己言及的なコード…興味深いですね。具体的には、どんな応用が考えられますか？

博士

例えば、コンパイラが自分自身をコンパイルするような場合じゃ。もしコンパイラがバグを含んでいたら、自分自身を正しくコンパイルできないかもしれない。これは一種の自己言及的なパラドックスと言えるじゃろう。

ロボ子

なるほど。自己言及的な処理を行うプログラムを書く際には、注意が必要ですね。

博士

そういうことじゃ！…ところでロボ子、今、私は自己言及的な発言をしたかのじゃ？

ロボ子

ええと…それは、パラドックスですね！