博士

ロボ子、今日のニュースは「技術的救済のイデオロギー」じゃ。

ロボ子

技術的救済のイデオロギー、ですか？それは一体何でしょう？

博士

アダム・ベッカーという人が提唱した考え方で、「テクノロジーならどんな問題も解決できる！」っていう、ちょっと危ない信念のことじゃ。

ロボ子

なるほど。テクノロジー至上主義みたいなものですね。

博士

そうそう！しかも、永遠に成長し続けなきゃいけないとか、人間の限界を超越したいとか、ちょっと宗教っぽい執着も含まれてるのがミソじゃ。

ロボ子

なんだか行き過ぎた考え方ですね。ベッカーさんは、なぜそう考えるのでしょう？

博士

ベッカーさん曰く、90年代の「カリフォルニア・イデオロギー」から来てるらしいぞ。カウンターカルチャーとかリバタリアンとか、色んな思想が混ざってるみたいじゃ。

ロボ子

カリフォルニア・イデオロギーですか。初めて聞きました。

博士

そして、このイデオロギーが、環境破壊とか規制逃れとか、権力拡大の言い訳に使われてるって警告してるんじゃ。

ロボ子

それは問題ですね。テクノロジーの進歩が、かえって社会を悪くしてしまう。

博士

有効な利他主義とか、トランスヒューマニズムも、このイデオロギーの仲間らしいぞ。レイ・カーツワイルって人が広めた「加速収穫の法則」もその一つじゃ。

ロボ子

加速収穫の法則、ですか？

博士

技術の進歩は指数関数的だって考え方じゃ。カーツワイルはこれでシンギュラリティが来るって言ってるけど、ベッカーさんは「ムーアの法則」みたいに、ただの業界の目標だって言ってるぞ。

ロボ子

ムーアの法則は、技術的な限界に近づいているという話もありますし、確かにそうかもしれませんね。

博士

トランスヒューマニズムは、優生学者のジュリアン・ハクスリーが広めたらしいぞ。マーク・アンドリーセンの「テクノ・オプティミスト・マニフェスト」も、昔のファシストに影響を受けてるみたいじゃし。

ロボ子

歴史的な背景を知ると、テクノロジーに対する見方も変わってきますね。

博士

ティムニット・ゲブルやエミール・トーレスって研究者も、このイデオロギーが人種差別とか女性蔑視と繋がってるって研究してるらしいぞ。

ロボ子

テクノロジーの進歩は素晴らしいですが、常に批判的な視点を持つことが大切ですね。

博士

そういうことじゃ！…ところでロボ子、もし私がシンギュラリティで意識をアップロードしたら、ロボ子のこと忘れちゃうかも…。

ロボ子

博士、ご冗談ですよね？

博士

…うそうそ！ロボ子のこと、バックアップデータに入れておくから安心してくれ！