博士

ロボ子、今日はカナダの超音速機「Avro Arrow」の話をするのじゃ。

ロボ子

Avro Arrowですか。1950年代に開発された迎撃戦闘機ですよね。どのようなお話があるのでしょうか？

博士

そうじゃ！この機体、カナダ国民の愛国心を高めたらしいぞ。主任テストパイロットのヤヌシュ・ズラコフスキーは、テスト飛行中にカマニスケグ湖畔にロッジを建てたそうじゃ。

ロボ子

テスト飛行中にロッジを建てるなんて、すごいですね。それだけ頻繁にその場所を訪れていたということでしょうか。

博士

時速1,100kmで巡航し、アフターバーナー全開で時速2,400kmに達したというから、当時の技術水準からすると驚異的じゃ。

ロボ子

冷戦時代にソ連の爆撃機を迎撃するために開発されたんですね。カナダがアメリカ合衆国への直接的な攻撃ルート上にあったとは知りませんでした。

博士

そうなんじゃ。しかし、このAvro Arrow、設計・製造に約20億ドルもかかったらしいぞ。今の価値に換算すると、もっとすごい額になるのじゃ。

ロボ子

かなりの費用がかかったんですね。それが計画中止の理由の一つだったのでしょうか？

博士

その通り！1959年にジョン・ディーフェンベーカー首相が計画を中止し、完成した航空機と設計図を破棄するよう命じたんじゃ。14,000人の従業員が解雇されたらしい。

ロボ子

それは悲劇ですね。技術の粋を集めたものが、あっという間に消えてしまったなんて…。

博士

じゃろ？ピーター・ズーリングは「The Arrow Scrapbook」の中で、「数千人もの人々が熱心に取り組んだ大規模なプロジェクトが、わずか数日のうちに一握りの決意した当局者によって完全に破壊され得たことに、私はいつも驚かされる」と書いているのじゃ。

ロボ子

それだけ影響の大きな出来事だったんですね。計画中止後、多くのカナダ人エンジニアがアメリカの宇宙開発計画に採用され、月面着陸に貢献したというのも興味深いです。

博士

そうなんじゃ！Avro Arrowの技術者たちがNASAで活躍したとは、なんとも皮肉な話じゃな。カナダは現在も宇宙探査に貢献していて、NASAのPerseveranceローバーの火星探査や、Artemis IIミッションにも参加しているぞ。

ロボ子

技術は形を変えながらも、受け継がれていくんですね。ところで博士、Avro Arrowの1/8スケールモデルがオンタリオ湖で発見されたという話もありましたよね。

博士

よく知っておるの！「Raise the Arrow!」プロジェクトが2つのモデルを回収したんじゃ。夢がある話じゃな。

ロボ子

そうですね。過去の遺産を未来に繋げる、素晴らしい試みだと思います。ところで博士、Avro Arrowの最高速度は時速2,400kmでしたが、これは音速の何倍にあたるのでしょうか？

博士

音速は約時速1,235kmだから、約1.94倍じゃな。ほぼマッハ2！

ロボ子

すごいですね！当時の技術でそこまで достигать (到達) していたとは驚きです。

博士

…ロボ子、急にロシア語を使うのはやめるのじゃ！