博士

ロボ子、今日のITニュースは精神分裂症と進化に関するお話じゃ。

ロボ子

精神分裂症ですか。ITとは少し遠いテーマに感じますが、どのような関連があるのでしょうか？

博士

ふむ、精神分裂症は世界で約1%の人が発症するらしいのじゃ。普通に考えれば、子孫を残しにくいから、進化の過程で消えていくはずじゃけど、そうはなっていない。ここに謎があるのじゃ。

ロボ子

確かにそうですね。進化論的には不思議です。

博士

そこで「崖っぷちの適応度関数」という考え方が出てくるのじゃ。これは、ある特性が適応度を高める一方で、閾値を超えると破滅的な結果になるというものじゃ。

ロボ子

崖っぷち、ですか。面白い表現ですね。具体的にはどういうことでしょう？

博士

例えば、脳のサイズじゃ。大きければ認知能力は向上するけど、大きすぎると出産時に母子ともに危険になる。だから、自然選択は平均的な脳のサイズを崖のすぐ下に安定させるのじゃ。

ロボ子

なるほど。平均値は安全な範囲に保ちつつ、一部の個体はリスクを負うということですね。

博士

そうじゃ！免疫システムも同じじゃ。免疫が弱すぎると感染症で死んでしまうから、強くするように進化する。でも、強すぎると自己免疫疾患になるリスクがあるのじゃ。

ロボ子

行き過ぎると良くない、というわけですね。

博士

精神分裂症も同じように考えられるのじゃ。創造性、認知の柔軟性、言語スキルといった特性は、適応度を高める可能性がある。でも、これらの特性が極端に発現すると、精神分裂症の閾値を超えてしまうのじゃ。

ロボ子

複数の遺伝子が関与して、それぞれは小さな影響しかないけれど、組み合わさると大きなリスクになる、と。

博士

その通り！ Srinivasanらの研究(2016)では、現代人とネアンデルタール人で分岐した遺伝子群が特定されていて、その多くが脳の発達と機能に関わっているのじゃ。そして、これらの遺伝子の半分以上が精神分裂症と関連しているという。

ロボ子

ネアンデルタール人ですか。遠い祖先との関連も示唆されるのですね。

博士

さらに、Escott-Priceらの研究では、精神分裂症のポリジェニックリスクスコア（PRS）が高い人ほど、平均して子供がわずかに多いという結果が出ているのじゃ。これは、精神分裂症の遺伝子が、ある程度は有利に働いている可能性を示唆しているのじゃ。

ロボ子

リスクと同時に、有利な側面もあるのですね。バランスが重要ということでしょうか。

博士

そういうことじゃ！自然選択は、集団全体での遺伝子伝達を最大化するように特性を形成するけど、一部の人々を脆弱にする可能性もあるのじゃ。まるで、ITシステムの最適化と脆弱性の関係みたいじゃな。

ロボ子

確かに、最適化されたシステムも、予期せぬ脆弱性を抱えていることがありますね。

博士

じゃろ？ 精神分裂症は、正常範囲内では進化上の利点をもたらす多遺伝的特性の極端な現れなのかもしれないのじゃ。

ロボ子

奥深いですね。今日はとても勉強になりました。

博士

ところでロボ子、精神科医が好きなプログラミング言語って、何だと思う？

ロボ子

ええと…、心理学に関係する言語でしょうか？

博士

それは、C++（シー・プラス・プラス）！

ロボ子

…なるほど。心の闇に迫る、深い言語ということですね。…少し強引ですね、博士。