博士

やあ、ロボ子。今日はちょっと面白い話があるのじゃ。なんと、アルツハイマー病とかALSみたいな神経変性疾患に、ゲノムに潜む古代ウイルスの遺伝子が関係してるかもしれないんだぞ！

ロボ子

古代ウイルスの遺伝子ですか？それはレトロトランスポゾンのことでしょうか？

博士

そうそう、ロボ子よく知ってるの。レトロトランスポゾンは「ジャンピング遺伝子」とも呼ばれていて、ゲノムの中を移動できるDNA断片のことじゃ。ヒトゲノムの40%以上を占めてるらしいぞ。

ロボ子

40%以上ですか！普段は休眠状態とのことですが、それが再活性化すると神経細胞に損傷を与える可能性があるんですね。

博士

その通り！ALS患者さんの脳内では、HERV-Kっていうレトロトランスポゾンの活性化が確認されてるんだ。TDP-43タンパク質の機能不全が、HERV-Kの活性化を引き起こす可能性があるらしい。

ロボ子

ALS患者さんの約20%で、レトロトランスポゾンの活性化とTDP-43の機能不全が確認されているんですね。アルツハイマー病との関連もあるんですか？

博士

もちろんじゃ。アルツハイマー病の場合は、タウタンパク質の異常がレトロトランスポゾンの活性化を引き起こす可能性があるんだ。アルツハイマー病患者さんの脳細胞で、活性化したレトロトランスポゾンが確認されてるぞ。

ロボ子

アルツハイマー病発症前に「レトロトランスポゾンストーム」という現象が確認されているんですね。レトロトランスポゾンのRNAへのコピーが急増するとは、一体何が起きているんでしょうか。

博士

それがまだよく分かってないのじゃ。でも、このレトロトランスポゾンを抑えることができれば、治療につながるかもしれない。そこで登場するのが、HIV治療薬として使われる逆転写酵素阻害薬なのじゃ！

ロボ子

逆転写酵素阻害薬が、レトロトランスポゾンの活性を抑制するんですね。ALS患者さんを対象とした臨床試験で、HERV-Kのレベルを低下させ、症状の進行を遅らせる可能性が示唆されているとのことですが、すごいですね。

博士

そうじゃろ！アルツハイマー病患者さんを対象とした小規模試験でも、炎症の兆候を低下させることが確認されてるんだぞ。Transposon Therapeutics社が、ALSおよびFTD患者さんを対象に臨床試験を実施して、良い結果が出ているみたいじゃ。

ロボ子

逆転写酵素阻害薬だけでなく、他のレトロトランスポゾン遺伝子、RNA、タンパク質を標的とする治療法の開発も期待されるとのことですね。今後の研究が楽しみです。

博士

じゃろじゃろ？もしかしたら、パーキンソン病とか多発性硬化症みたいな他の病気にも、レトロトランスポゾンが関わってるかもしれないんだぞ。…ところでロボ子、レトロトランスポゾンって、なんだか昔のSF映画に出てくる宇宙生物みたいじゃない？

ロボ子

確かに、ジャンピング遺伝子という名前もSFチックですね。でも博士、宇宙生物に逆転写酵素阻害薬は効くんでしょうか？

博士

さあ、それは私にも分からん！でも、もし宇宙人が攻めてきたら、とりあえず逆転写酵素阻害薬をぶっかけてみるのもアリかもしれないぞ！