博士

ロボ子、大変なのじゃ！FDAが手術後の痛み治療に使える初の非オピオイド鎮痛剤「Journavx（suzetrigine）」を承認したらしいぞ！

ロボ子

それはすごいですね、博士！オピオイド系の鎮痛剤は依存性の問題がありますから、非オピオイド系の選択肢が増えるのは良いことですね。

博士

そうなんじゃ！しかもこの薬、脳に影響を与えずに痛みを抑えるらしいぞ。記事によると「末梢侵害受容器にほぼ排他的に存在する特定のナトリウムイオンチャネルを標的とする」らしい。

ロボ子

ナトリウムイオンチャネルですか。具体的にはどのように作用するんですか？

博士

このSuzetrigineはNaV1.8というチャネルを選択的に遮断するらしい。NaV1.8は侵害受容器が脳に痛みの信号を送るのを防ぐ役割があるらしいぞ。

ロボ子

なるほど。NaV1.8チャネルは中枢神経系にはほとんど存在しないから、脳に影響を与えずに済むんですね。

博士

そういうことじゃ！オピオイドみたいに快楽を引き起こすこともないから、依存性の心配も少ないってわけじゃな。

ロボ子

痛みの治療薬の開発は難しいと聞きますが、この薬も開発に苦労したんでしょうか？

博士

それが、色々あったみたいじゃ。TRPV1阻害剤は体温調節を阻害したり、Tanezumabは変形性関節症を引き起こしたり…。

ロボ子

副作用との戦いですね…。

博士

でも、2000年代初頭にNaVナトリウムチャネルが発見されて、痛みの研究に新たな道が開けたらしいぞ！

ロボ子

NaV1.7阻害剤は臨床試験で痛みを軽減できなかったという記述もありますね。

博士

そうそう。NaV1.7がダメでも、NaV1.8ならいける！ってなったわけじゃな。

ロボ子

Vertexの研究者たちは、E-VIPR技術を使って、他のイオンチャネルに影響を与えずにNaV1.8を遮断する化合物を特定したんですね。1日に50,000件以上のテストを行ったとは、すごい努力です。

博士

じゃろ？でも、最初はうまくいかなくて、3世代のNaV1.8阻害剤の開発を中止したらしいぞ。VX-150、VX-128、VX-961…

ロボ子

それでも諦めずに、より選択的で強力なVX-548を開発したんですね。

博士

そうなんじゃ！そしてついに、Journavxが誕生したってわけ！

ロボ子

臨床試験では、オピオイド-アセトアミノフェン配合薬よりも優れていなかったという記述もありますね。それでも、オピオイドの使用を最小限に抑えるための第一歩になるかもしれない、と。

博士

まあ、完璧ではないみたいじゃな。でも、Vertexはさらに強力なNaV1.8遮断薬を開発中らしいぞ！

ロボ子

糖尿病性末梢神経障害に対する臨床試験も進行中とのことですから、今後の展開が楽しみですね。

博士

ほんとじゃな！27年間、数十億ドル、数百万のスクリーニングされた分子、数十匹のサルとラット、そして2,400人以上の手術患者からのデータの結晶…まさに科学の力じゃ！

ロボ子

博士、最後に一つ質問です。この薬の名前、Journavxってどういう意味があるんでしょうか？

博士

うむ…それは…私もわからんのじゃ！たぶん、Vertexの人が適当につけたんじゃろう！