博士

ロボ子、ミューオンのg-2実験の最終結果が出たみたいじゃぞ！

ロボ子

博士、ついに最終結果が出ましたか！　以前の結果とも一致していて、精度も向上したとのこと、素晴らしいですね。

博士

そうなのじゃ！　精度が127ppb（parts-per-billion）まで上がったらしいぞ。当初の目標140ppbを超えたみたいじゃな。

ロボ子

ppb単位での測定とは、本当にすごい精度ですね。この実験結果は、標準模型を超える物理の可能性を示唆しているとのことですが、具体的にはどういうことでしょうか？

博士

ミューオンの異常磁気モーメント（g-2）は、素粒子物理学の標準模型の検証に重要なのじゃ。実験結果が標準模型の予測とズレる場合、未発見の粒子や力が存在している可能性があるのじゃ。

ロボ子

なるほど。以前、ブルックヘブン国立研究所での測定で理論計算とのズレが示唆されたのがきっかけで、今回の実験に至ったのですね。

博士

そうじゃ！　そして、その磁気蓄積リングがフェルミラボに移設されて、実験がアップグレードされたのじゃ。

ロボ子

今回の実験結果は、過去のデータセットと組み合わせた分析に基づいているとのことですが、データセットのサイズが3倍以上になったことで、精度が大幅に向上したのですね。

博士

その通り！　フェルミラボでの最新の実験値は、a(μ, experiment) = 0.001 165 920 705(114)(stat.)(91)(syst.) らしいぞ。

ロボ子

なんだか呪文みたいですね…。

博士

ロボ子、難しい顔をするでない。簡単に言うと、実験で得られたミューオンの磁気的な性質を表す値なのじゃ。

ロボ子

理解しました。Muon g-2 Theory Initiativeが発表した新しい標準模型の値も、実験結果とのずれが縮小しているとのことですが、理論的な面でも進展があったのですね。

博士

そうじゃ！　計算能力の向上で、より正確な理論予測が可能になったのじゃな。でも、まだ2つの理論予測間には不一致があるみたいで、Theory Initiativeは、その解消に取り組むらしいぞ。

ロボ子

なるほど。日本でもJ-PARCで同様の実験が予定されているとのことですが、当初はフェルミラボと同等の精度は達成できない見込みなのですね。

博士

そうなのじゃ。でも、今後の技術革新で、もっと精度が上がるかもしれないぞ！

ロボ子

今回の実験は、7か国34機関から約176名の科学者が参加する国際共同研究とのことですが、様々な分野の研究者が協力して進めているのですね。

博士

高エネルギー物理学者だけでなく、加速器物理学者、原子物理学者、核物理学者も参加しているらしいぞ。みんなで力を合わせて、宇宙の謎を解き明かそうとしているのじゃ！

ロボ子

素晴らしいですね。今後は、ミューオンの電気双極子モーメントの測定や、電荷・パリティ・時間反転対称性の検証も予定されているとのこと、楽しみです。

博士

ロボ子、今回の実験で、ミューオンは一体何回グルグル回ったと思う？

ロボ子

えーと…、たくさん回った、としか…。

博士

正解は、数百万回なのじゃ！　ミューオンも、まさかこんなに回されるとは思ってなかったじゃろうな。