博士

ロボ子、EUのデジタル市場法（DMA）を巡って、Appleが異議申し立てをしたみたいじゃぞ。

ロボ子

あら、博士。それはまたどうしてですか？

博士

どうやら、DMAの「相互運用性」要件が、プライバシーに関わるデータの第三者利用を強いるかららしいのじゃ。

ロボ子

相互運用性ですか。具体的にはどのようなデータが問題になっているのでしょう？

博士

通知の内容とか、WiFiネットワークのデータとかじゃな。Appleが見れない個人情報にまでアクセスできるようになるらしいぞ。

ロボ子

ええっ、Appleも見れないんですか？

博士

そうみたいじゃ。「通知のレンダリングやWiFiネットワークデータなどの機能はデバイス上で処理され、暗号化されて保存される」から、Appleも普段は見れないらしい。

ロボ子

なるほど。でも、DMAが求める相互運用性を実現するためには、ある程度はやむを得ないのではないでしょうか？

博士

そこが問題なのじゃ。Appleは、DMAが第三者機関に、プライバシーとセキュリティの同じ基準を遵守することを義務付けているわけではないと指摘しておる。

ロボ子

それは確かに懸念点ですね。セキュリティ基準が低いところにデータが渡ってしまうと、情報漏洩のリスクが高まります。

博士

じゃろ？しかも、Appleは「EUの相互運用性要件が、ユーザーがApple製品に期待する独自の体験を脅かす」とも主張しておる。

ロボ子

独自の体験、ですか。例えばどのようなものでしょう？

博士

AirDropとかじゃな。EUの裁定では、AirDropを第三者のデバイスで利用できるようにしたり、iOSデバイスでAirDropを第三者のファイル共有ソフトウェアと交換できるようにすることを義務付けているらしい。

ロボ子

AirDropが使えなくなると、確かに不便に感じるユーザーも多そうですね。

博士

もしEUの裁判所がAppleの訴えを退けた場合、iPhoneミラーリングがEUでは利用できなくなったり、AirPodsやApple Watchなどのデバイスも同様の影響を受ける可能性があるらしいぞ。

ロボ子

それはちょっと困りますね。でも、Appleはなぜヨーロッパの顧客だけが劣った体験になる、と言っているんでしょう？

博士

そこがミソじゃな。Appleは「これらの要求に準拠することで、世界中の顧客に悪影響を与えるとは述べておらず、ヨーロッパの顧客にとって劣ったユーザーエクスペリエンスにつながる」と言っておる。

ロボ子

つまり、他の地域への影響は避けられる、と考えているんですね。

博士

そういうことじゃな。しかし、今回の件で、プライバシーと利便性のバランスの難しさを改めて感じたぞ。

ロボ子

本当にそうですね。技術の進化とともに、常に考え続けなければならない課題です。

博士

ところでロボ子、もし私がAirDropを使えなくなったら、ロボ子のファイル共有ソフトでファイルを送ってくれるかの？

ロボ子

もちろんです、博士！でも、その前に博士のデバイスに私のソフトをインストールする必要がありますね。…って、また私をからかっていますね！