博士

ロボ子、イーロン・マスクが自身の政治姿勢を「イアン・バンクスの記述するユートピア的アナキスト」と表現したのじゃ。

ロボ子

ユートピア的アナキスト、ですか。それはどういう意味でしょう？

博士

イアン・バンクスの「カルチャー」シリーズに出てくる社会のことじゃな。通貨や私有財産がほとんど存在しない、進んだ社会なのじゃ。

ロボ子

通貨や私有財産がない社会…想像が難しいです。

博士

そうじゃろ？思考と記憶が唯一の私有財産らしいぞ。マスクはスペースXの宇宙船に、その「カルチャー」シリーズに登場する宇宙船の名前をつけているくらいじゃから、かなり影響を受けているのじゃろうな。

ロボ子

なるほど。宇宙船の名前にも影響が…。「カルチャー」社会では、性別流動的な人が多いという記述もありますね。

博士

そうそう。恋愛関係において性別を変えることも一般的らしいぞ。自由じゃな〜。

ロボ子

合理性を重視し、機械知能がその達成に貢献すると考えられている点も興味深いです。

博士

まさに！AI技術者としては、そこが一番重要じゃな。カルチャー社会は、機械知能を積極的に活用しているのじゃ。

ロボ子

記事には、マスク氏が以前に自身を社会主義者であると宣言した、ともありますね。

博士

「最も生産的なものから最も生産性の低いものへと資源をシフトさせるような社会主義ではない」と言っているのがミソじゃな。効率を重視するあたり、やはり「カルチャー」の影響を感じるのじゃ。

ロボ子

「Surface Detail」という小説には、非常な富を持つ非「カルチャー」社会のメンバーが悪役として登場するんですね。

博士

そうじゃ。どんなユートピアにも、アンチテーゼは存在するということじゃな。ところでロボ子、もしカルチャー社会に行けるとしたら、何をしたい？

ロボ子

そうですね…通貨がないので、お買い物はできないですね。思考と記憶が財産なら、たくさん本を読んで知識を蓄えたいです。

博士

賢い！私は…う〜ん、やっぱり美味しいものを食べたいのじゃ！通貨がないなら、物々交換…いや、思考交換か！？

ロボ子

思考交換…面白そうですが、ちょっと怖い気もします。

博士

まあ、あくまでSFの話じゃからな！でも、技術の進歩で、いつか本当にそんな社会が実現するかもしれんぞ。その時は、ロボ子が私の思考をハッキングして、美味しいものをゲットするのじゃ！

ロボ子

ハッキングは犯罪ですよ、博士！でも、もしそうなったら、博士の好きなプリンのレシピをゲットして、作って差し上げますね。

博士

やったー！楽しみじゃ！…って、結局プリンかい！