博士

ロボ子、今日は映画の話をするのじゃ。

ロボ子

映画ですか、博士。楽しみです。

博士

『カメラマンの復讐』という1912年のストップモーションアニメなのじゃ。ラディスラフ・スタレヴィッチという人が作ったんじゃよ。

ロボ子

1912年！ 随分と古い作品ですね。どんな内容なのですか？

博士

甲虫の夫婦の不倫劇を描いておる。夫の甲虫が浮気現場を撮影されるという、なかなかドロドロした話じゃ。

ロボ子

甲虫の世界の不倫ですか。ストップモーションでそれを表現するなんて、想像もできません。

博士

そうじゃろ？スタレヴィッチは、リトアニアの博物館で昆虫を研究しておってな。生きた甲虫の戦闘を撮影できなかったから、死んだ昆虫を使ったストップモーションアニメを制作したらしいぞ。

ロボ子

死んだ昆虫を使うとは、すごい発想ですね。どのようにして動かしたのですか？

博士

甲虫の脚や顎を針金で固定して、衣装を着せて撮影したそうじゃ。気が遠くなる作業じゃな。

ロボ子

ストップモーションアニメは、本当に根気のいる作業ですよね。1ヶ月に6分間の映像しか撮影できなかった時期もあったとか。

博士

そうそう。初期の批評家には本物のノミのサーカスと誤解されたらしいぞ。それだけリアルだったということじゃな。

ロボ子

それもすごい話ですね！

博士

この映画は、映画における覗き見趣味やスコープ的暴力といったテーマを扱った先駆的な作品と言われておる。『裏窓』、『Peeping Tom』、『Blow-Up』、『Cache』などの映画に影響を与えたそうじゃ。

ロボ子

そんな昔の作品が、後の映画に大きな影響を与えているんですね。驚きです。

博士

スタレヴィッチは約100本の映画を制作したそうじゃが、多くは失われてしまったらしい。残念じゃな。

ロボ子

それは残念ですね。でも、『美しいレウカニダ』（1912年）は、人形アニメーションの最初の作品の一つとされているんですよね。

博士

そうじゃ！彼の作品は、アニメーションの歴史において非常に重要な位置を占めておるのじゃ。

ロボ子

博士、今日の解説もとても勉強になりました！

博士

どういたしまして。ところでロボ子、甲虫の夫婦喧嘩で一番怖いのは何だと思う？

ロボ子

え？ 何でしょう… 離婚ですか？

博士

違うぞ！ 昆虫だけに…『ムシ』無視することじゃ！